こんにちは、よろず支援拠点コーディネーターの木村です。
製造工場における原価低減・生産性向上活動の進め方についてお話しします。
1.「ムダ」の削減
現場改善活動では、原材料に加工変形(=付加価値)を加えない仕事全てを「ムダ」と定義します。
人の作業に着目した場合、その作業が付加価値を生むことに直接関与している作業かどうかが重要な判断基準となります。
例えば、物を運ぶ、数える、検査、不良の手直し、監視、探す、積み上げ積み降ろし、手待ち、作りすぎ(在庫)などは、付加価値を生まないため全てムダと定義されます。
工場内では様々な加工が行われています。付帯する作業として、塗装や梱包をしている人もいるでしょう。資材を運搬したり積み上げていたりする人もいると思います。
でも、ちょっと視点を変えて、その人がお金になる仕事をしているかどうか考えてみてください。
顧客は製品そのものに対して対価を支払います。ですから、材料が製品になる「加工そのもの」に対しお金を出してくれるわけで、どんなに運搬や在庫滞留、検査、物を探す、乗せ換えなどの仕事に時間をかけても1銭も払ってくれません。
労働のムダを見つけそれを削減し、その時間を付加価値作業に転換・充当することが改善のポイントです。
2.工場内物流の改善
工場内の物(材料・仕掛品)の流れを分析します。現状の運搬方法が必要とするコスト(特に工数)を把握し、削減の方法を研究します。
台車による運搬なのかコロコンによる運搬なのか、リフトやクレーンを利用するのかなど、運搬方法そのものの見直しも含め生産性を阻害していないか検討します。
運搬方法だけではなく、在庫の保管方法や荷姿などが大きく影響します。
3.在庫等の保管方法の改善
在庫に関するムダを省くには、置き場を確定し番地管理を行います。何をどこにいくつ置くかを決め、保管場所のスペースを制限することにより量的規制も行います。これにより探すムダを排除します。
保管方法は、次の運搬工程がやりやすいような置き方を導入します。運搬に要する工数を削減する方向で置き方を工夫してください。
また、間口を広く奥行きの浅い保管場所を確保することが必要です。できたら先入れ先出しがとれるような工夫をします。
4.流れ生産と工程間の短縮
中間在庫を減らす最も良い方法は、工程を連結し加工を連続して行うことです。
そのためには、従来の分業システムから、多工程持ち流れ生産に変えていくことを検討します。(製品特性や加工工程数にもよりますが。)
機械設備を工程順に並べ(U字ライン等)、作業者が順に加工していく方法は、リードタイムの短縮とともに中間在庫の削減やマテハン効率が向上します。
5.工程分析とレイアウト改善
製品がどの工程を経て生産されるかを把握します。
多品種小量生産が求められている現在、通過工程の種類や順序が大きく変動することは避けられません。それでも工程のグルーピングにより、運搬効率を考えながら工程の連結と流し方を決定し、レイアウト改善を行うことが必要です。
改善のキーワードは、「機械と人の分離」「流れ生産」「U字ライン」「工程間の距離の短縮」「在庫量の規制」「人の集約と助け合い」などになります。
6.ビデオによる改善活動
簡単な改善活動として、ビデオ(スマホ)を活用する方法があります。
人の作業において付加価値を生まないムダな動作はないか、画面から消えている時間量とその理由は何か、機械装置と人が分離されているか、各工程のタクトタイムでの生産が行われているか、重複作業はないか、構内物流の効率に問題はないか、などが確認でき改善の糸口を見つけることができるようになります。
※新潟県よろず支援拠点では、生産性向上に関するご相談に対応しています。
必要に応じて工場等の現地を確認しながらのご相談も可能です。
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