新潟県よろず支援拠点コーディネーターの山崎です。
2024年元日早々、能登半島を中心に大きな地震が発生し、県内でも多くの被害が出ました。被災された皆様には改めてお見舞い申し上げます。
災害が起きるたびにクローズアップされることが「BCP(Business Continuity Planning:事業継続計画)の作成」です。
しかしながら、BCPの作成に関してはなかなか進んでいないのが実情ではないでしょうか? この機会にお話してみたいと思います。
1.そもそもBCPとは
BCPは、「地震や水害などのいつ起きるか分からないことへの対応」という理解が多く見られますが、本来の目的は日本語略の言葉通り「事業をいつまでも継続させる計画」であります。
そうだとすると、防災とか危機管理という言葉とは若干異なる解釈となります。
一般に、防災や危機管理というと、危機が起きたとしても被害を減じる、あるいは被害に遭わないという予防的な意味が強くなります。いくら予防していても、現実には想定外はかならず起きます。
BCPは、想定外が起きたとしても、事業を継続するための作戦という意味で考えられた手法です。
2. BCP作成上の重要な考え方
2.1. ビジネス影響分析
BCPを作成する上で、もっとも大切で外すべきではないプロセスがBIA(ビジネス影響分析:Business Impact Analysis)というものです。
簡単にご説明すると、企業内の様々な機能(設備、人、モノ、IT)や情報の流れ、外部からの調達(仕入、外注、輸送)などの行為が、何らかの理由で停止してしまったとしたらどんな影響が出るのか、どれくらい致命的なのかを分析する行為です。
実際にこれを行ってみると、地震や水害といっためったに起きない災害だけでなく、事業継続を妨げるような危機が潜んでいることが結構見つかります。
実際にあった例は下記です。
主要な売上を作っている製品を製造している外注先が一社のみ。しかも、それを作るための型が一個のみ、その型が壊れたら製品供給が滞る。
特定の装置が故障すると全く製品が出来てこない。しかも、その装置の修理部品が存在しない。
自社の売上の95%が一社からの注文であり、その売上が年々減少している。
2.2. 復旧戦略の立案
BIAでどこが機能不全になると事業が止まるのかを分析した後には、もしある部分が機能不全に陥ったらどういう対策を取るかの戦略を考えることになります。これは復旧戦略と言われるものです。
戦略というアバウトな名前なのは、実際にどんな被害が起きるかは起きてみないと詳細にはわからないのだから、細かな行動を決めておくのではなく大きな戦略を何パタンか考えておくというところが重要な点になります。
復旧戦略の立案時に、企業にとって最も大事にしなければならないのは、顧客との接点や顧客へのモノやサービスの提供を途切れさせないことになります。
過去の阪神大震災や東北大震災でも、被災して時間をかけて工場を立て直したけど、立て直している間に顧客が離れてしまって、結局は事業を継続できなくなったという事例がたくさんあります。 現状復旧するにしても、それまでの間、顧客を繋ぎ止めるといった「つなぎの行為」が大事な戦略になります。
例えば下記のような作戦です。
外注先と連携して、短期的に代替生産を行う。そのために、事前に約束を決めておく。
製品在庫を遠隔地にも保管しておき、在庫がある限りは製品を提供する。
3. まとめ
災害が起きるたびに、国土強靭化とかBCP的な話が盛り上がりますが、実際にはなかなか企業に浸透していないことは残念です。
こういう時期だからこそ、もう一回、企業の事業継続に関して、会社内で検討して見てはいかがでしょうか?
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