創業「必ず成功してほしい」との願いを込めて 【後編】

前編はこちら→https://www.niigata-yorozu.go.jp/2023/08/28/創業「必ず成功してほしい」との願いを込めて前/

新潟県よろず支援拠点コーディネーターの伊藤です。

新規創業予定の方に向けたコラムの前編では、「成功する創業」を目指す上で大切なポイントと、「創業」前に陥りやすいパターンについてお伝えしました。
後編では、「成功する事業」「いつまでも長く事業を継続できる」を実現するための考え方・方策についてお伝えします。

4:「成功する事業」「いつまでも長く事業を継続できる」を実現するための考え方・方策

「評価」は他人がするものであり、自身が「評価」するものではない。
・ 全ての商売・事業は他人様(取引先・消費者等)から「大切なお金」をいただくことで成り立っています。「大切なお金」を「自身」にお支払いしていただくことの「重み」と「有難さ」を認識することが何よりも商売の基本と考えます。

ご相談の中で「売上が下がっている・赤字経営」の理由を社会や従業員のせいにされ、決して経営者自身の責任ではないとの考え方にたつ経営者様もおられますが様々な面で考えさせられます。

上記の「商売の基本」認識は、「成功する事業」の大きなポイントです。
具体的には、私たちが「物」や「サービス」に対して「大切なお金」を使うときは「本当に欲しい物・サービス」に対して「数社」(競合他社)あるうちから「特定のお店」(選ばれたお店)に対して「お金を使う」わけです。

要は皆様の事業が成功し続けるためには「お客様」(他人)から「本当に欲しい物・サービス」(付加価値)があり、数ある競合他社から「選ばれるお店」(他にはない付加価値)にならなくてはならないということです。言い換えればそれらの一つでも欠けていると大切なお金を使っていただけず商売・事業が成り立たないという結果に近づいてしまいます。このことは既存の商売を営んでおられる会社でも厳しい現実が多く見受けられます。特定の商品について「高い」「安い」との評価を受けますが、何をもって「高い」「安い」なのかを考えなければなりません

・ ターゲットの選定が明確かどうか?
商売は自身の扱う「商品・サービス等」のどの部分を強み(付加価値)として消費者に対して訴求し認めてもらい自身の設定した価格で購入してもらうかということです。 これが実現できることで、目指すべき利益(キャッシュフロー)を確保することができます。

昨今の状況で特筆すべきことは、いわゆる「老舗」といわれる100年も続いた会社の廃業・破綻の事例です。個別には様々な要因があると思いますが、よく言われるの は従来のビジネスモデルに固執し時代の変革(消費者のニーズ・価値観の変革)を適切にキャッチすることが大きな要因といわれています。

需要と供給、まさに「大切なお金」をつかっていただける「お客様の需要」が今現在どこにあるのか?何であるのか?を常にキャッチし続けることが全ての商売の基本であることを私自身も忘れずにいたいと思っております。

・ 創業前の事業の準備不足による例として、飲食店の例をあげると、開業直後はいわゆるご祝儀で来店されることで賑わいを感じられるのですが、その後に客足が途絶え、廃業するということがあります。

この場合も前記した創業することでいっぱいで大切な「事業」について準備不足であったといえます。「初めて食べたけど、次はやっぱり別のあのお店の方がいいな」という感情を持たれてしまうと再度の来店は厳しいという例です。要は競合他社に負けたということです。最近の実感としては、全体として「価格・安さ」よりも「品質・中身・内容」に対しての需要が高いということです。
結果的にこれがうまくいけば目指すべき利益を得ることが可能となるということです。

商売の本質は「本業」である「事業」の追求であるといえます。
「価格」「安さ」で安易に勝負すると価格競争に巻き込まれ規模の大きい事業所に負けてしまいます。
あくまでも自身が勝負できる「強み」で勝負し勝つことが大切です。(言うは易く行うは難し → これがあると勝負できる)

・ 商売で何が難しいかといえば、続けることの難しさ、お客様が来店・購入・契約し続けてくれることの難しさは経営者様の一番の悩みどころと思います。
常にお客様の需要の変化に気づき、すぐに対応し続けることが、この悩み、不安を解消できる方策と考えます。
商売を始めると強く認識することは「お客様を獲得することはすごく大変なことだけど、離れていくことはいとも簡単なことである」ということです。そして一旦離れたお客様・信用・信頼は簡単には取り戻すことができないという事実です。なので、一度獲得した大切なお客様は何が何でも需要を聞き取り、満足感を持ち続けていただき自社の大切な固定客になっていただくことが大切だと考えます。固定客を安定的に保有し続ければ簡単には経営困難になることはないと考えます。

最後に
国内の創業後の事業継続率(廃業率)等をみると非常に厳しい現実があります。しかし廃業率等の数字のみをもって「創業は難しい」と安易に判断するのではなく、その要因を分析・把握することで自身は落ち着いて確実に準備が可能と考えます。

繰り返しになりますが「勝負できる他社に負けない本業・事業の確実な準備」が重要です。これにより「根拠ある自信」につながり、結果として創業計画の実現可能性が高まり、金融機関に対しても説得力が生まれ、希望の資金を借入することができます。

ちなみに創業資金に限らず金融機関に対して運転資金や設備資金の申込をする場合に金融機関の立場からすると「本当に返済してくれるのだろうか・返済できるだけの利益(CF)を確保できるのだろうか」という視点で審査します。

この場合、何を頼りに融資判断するかといえば経営者の「根拠ある自信」とその「裏付け」です。創業前であれば本業である「物」「サービス」「事業計画の説得力」、創業後の借入に対しては「創業後の利益の実績」です。

よって、創業前も創業後も根拠ある、説得力ある実績と自信が不可欠なのです。
言い換えれば「根拠のない、自信のない」経営者に対しては金融機関も不安になり融資を決断できにくくなります。

現時点において、皆様の準備段階は様々であると思います。
どの段階であれ、今一度勝負する事業について考えていただきたいと思います。「大切なお金」を支払っていただけるお客様は自身の商品・製品・技術・サービスに対して今後何年も評価し続け、お金を支払ってくれるであろうか。
大切なお客様のために常に時代と需要の変化に対応し、チャレンジし続けていく覚悟が自身にはあるだろうか。

この不安を少しでも解消するためにも「たくさんの方々」に「触れて」「食して」「使って」いただき、数多くの「本音」を収集することが大切であると考えます。
これらを踏まえ自身が「いける」と認識したならば、あとは「実現可能性の高い事業計画」「借入・返済計画」を策定し、念願の開業までスムーズにいくものと思います。

本日以降、どの段階にありましても「いつでも・お気軽に・無料で」新潟県よろず支援拠点にご相談ください。お待ち申し上げます。
ありがとうございました。

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