新潟県よろず支援拠点コーディネーターの上村です。
店舗や工場、事務所用の土地を買ったり、売ったりする際に、不動産会社から売値や買値の提示を受けた上で、売買の判断を行うことが多いと思います。
それでは、不動産会社が提示してくる価格は、何を基準にして決定されるのでしょうか?
通常の商売では「一物一価」といわれ、1つのモノには、1つの価格が紐付くわけですが、土地の価格は、そう単純な話ではありません。
土地の価格は「4つの公的な不動産評価」と「1つの市場価格(実勢価格)」の5つの価格があるのです。これは「一物五価」と言われ、1つの土地に、5つの価格が存在するという、なんとも分かりにくい話となっているのです。
「5つの価格が全く違う価格であれば、売り手と買い手の折り合いがつかず、売買が成立しないのではないか?」と思われる方もいるかと思います。
それぞれの評価額は別々のもので、全く違うものと感じる方もいるかもしれませんが、実はある程度の関連性があるのです。
その関連性について、5つの評価基準の概要と合わせてご紹介していきます。以下の表をご覧ください。
※価格水準は、公示価格を100%とした場合の水準(目安)。
※上記の評価以外に、不動産鑑定士が個別に実施する「不動産鑑定評価」があり、これも含めると6つの価格基準があります。
4つの公的機関の評価の中で一番重要な評価は、「公示価格」と言われており、他の公的機関の評価や実勢価格の価格目線に大きな影響を与えています。
表の下段に「価格水準(目安)」の欄がありますが、公示価格を目安として、各価格が決定されています。実勢価格以外は、おおむね公示価格にリンクしています。
実勢価格も公示価格にリンクした価格水準がありますが、買い手の予算と売り手の希望額により大きく変動します。例えば、海外の富裕層が、国内の価格水準を無視して、気に入った物件を次々に高値で購入するケースが増えてきています。
「基準値価格」は土地売買の基準を公示するものであり、「公示価格」と同じ目的となっています。
「公示価格」が公表されているのに、なぜ「基準値価格」も調査公表するのかとの疑問が湧きます。
これは、「公示地価」が年1回の公表となっているため、年中に地価が変動した場合に、その変動額を公的評価に反映するのが遅くなります。このタイムラグを少しでも解消するために、「公示価格」が公表された半年後に「基準値価格」を公表すると言われています。
このコラムをご覧の皆様も、ご自身が所有している土地の評価額を調べてみてはいかがでしょうか。
<各評価の主な検索先、検索方法>
・「公示価格」・・・国土交通省のHPから「土地総合情報システム」を利用し検索
・「固定資産税評価額」・・・市町村の窓口で「固定資産税台帳」の閲覧、又は「課税証明書」を確認
・「相続税評価額(路線価)」・・・国税庁のHPから「財産評価基準書:路線価図・評価倍率表」で検索
・「基準値価格」・・・各都道府県のHPから「基準地標準価格」で検索
・「実勢価格」・・・不動産会社や各種民間のサイトで検索できますが、公示価格と同様に、国土交通省
のHPから「土地総合情報システム」で検索することができます。
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