新潟県よろず支援拠点コーディネーターの伊藤です。
今回は新規創業予定の方に向けたコラムをご用意いたしました。
前編、後編に分けてお送りします。
1: 創業予定の方にいつもお聞きすることは「創業することの理由・目的」
(1)皆様の創業理由・目的は次の内どれですか?
①人生で一度は「創業・起業」を経験してみたかった。
②趣味であった「事」を多少の収入に結び付けたい。
③今後、本格的に「ビジネス」として「目指すべき収入」を確保し大切な家族を守る。
④その他の理由。
(2)上記の内①②を実現することはそれほど困難ではないと考えます。理由は次の通りです
- 「開業」自体「開業届」「法人設立」は手続的なことであり難しくはありません。
- 「多額の借入金」を必要とするものでなければ創業後、万が一事業がうまくいかなくとも債権者等、関係者に迷惑をかけず適切なタイミングで廃業することも可能です。
- ポイントは今後の生活を考えた場合、「他に収入の基盤があるので今回の創業は仮にうまくいかなくとも「大丈夫」なのだ」という位置づけなのか、あるいは今回の「創業」に「今後の家族の生活(子供の教育費・住宅ローン・親の介護・食費等生活費等)がかかっている。なので、失敗は絶対に許されない」という位置づけなのかということです。この位置づけによって様々な面(覚悟・実現可能な事業計画書(借入するためではありません)経営・税務・法務面での知識の習得)で幅が相違します。
- 皆様の具体的な創業目的(業種・職種・規模・借入金・目指すべき収入・CF)は様々であると考えられるので今後、ご要望があればいつでも個別にご相談してください。
2: 「成功する創業」を目指す上で大切なポイント
経営者になるということ(給与所得者にはないメリット・リスク)
- 一般論ですが給与取得者の場合はよほどのことでもなければ失職・大幅な収入減・経営責任(損害賠償等)を負うことはありません。要は毎月、確実な収入が確保され将来の様々な計画が立てられます。一方で収入が2倍3倍になることや自身がやりたいことを自由にやることはほぼ不可能です。
- 創業すれば「経営者」になります。上記に記載したことの反対の解釈になります。収入は不確実ですが成功すれば給与所得者以上の収入の可能性がでてきます。また、経営者なので自身が思い描いたことを実践・実現できる可能性がでてきます(夢・希望の実現可能性)。一方でうまくいかなければ様々な責任を負うことになります。
- 給与所得者も経営者も共通していえることは「自己責任」であるといえますが、特に「経営者」はその度合いが強くなるといえます。(ハイリスク・ハイリターン)
- 創業前に認識いただきたいことは経営者とは「経営」を実践する「者」なので「経営」=「事業」と「財務」の理解は不可欠です。特に「経営数字」については「事業計画書」の立案・借入金の返済原資の確保等についてはしっかりと理解していないと創業後に資金繰りが逼迫することも珍しくありません。すべてにおいて早めの準備・段取りは必要です。
3: 「創業」前に陥りやすいパターン(実際、相談の多くがこのケース)を理解しましょう
「創業」することで頭がいっぱいで大切なことが後回しになっている。
- どうしたら希望する金額を、どこの金融機関から借入することができるのか?
- 借入を実現するための「事業計画書」の記入方法は?
創業に関してよろず支援拠点に寄せられるご相談の多くが、「借入すること」「そのための事業計画の作成方法」についてです。
大切なことが後回しのまま前に進んだとしても、その後の結果として「あっという間の廃業」というケースが意外と多いのです。なぜなら一番大切な「成功する事業」の一番重要な「事業」につての認識・準備が不足しているからです。
借入金・事業計画書はその後の対策として認識いただきたいと思います。言い換えれば「成功する事業」についての準備が適切にされていたならば、難しくなく進むと考えられます。
まずは「大切な事業」について確実に準備を進めることが何よりも大切なことと考えます。
(後編につづく)