資金繰りを経理担当任せにしてはいけません

新潟県よろず支援拠点コーディネーターの田中です。

 

あなたの会社(事業者)の経理担当者はどなたですか?

ある程度の規模の会社であれば、経理部や総務部など担当部署があることでしょう。中小企業や小規模事業者では、経営者の親族が担っているところも多いと思います。いずれの場合も、足りない運転資金の調達を経理担当者任せにして、経営者はハンコとサインだけ、という会社(事業者)は要注意です。気づいた時には、立て直しが困難なほど財務状況が毀損しているかもしれません。

これまでの私の経験の中で、経営者が資金繰りを経理担当任せにしていたために失敗した事例を紹介します。

 

<ケース1・ある意味有能?な経理担当者のいた会社>

その会社の経理担当は、財務の知識も十分にあり、金融機関などへの提出資料も自身で作成し、交渉できる人でした。経営者が資金面のこと全てをその担当者に任せたのも無理はありません。会社のお金を横領するほどの悪人でもありませんし、財務面から会社のことをよく考えている方でした。ただ、会社のことを思うあまり、やっていたのは粉飾でした。

業種柄、会社の経営状況をよく見せる必要がありました。月次試算表や決算書、その他の書類を粉飾し、その粉飾した財務資料で融資も受けていました。しかし、会社の実態は赤字続きだったのです。経営者は、会社の根本的な問題点に気づくことなく、粉飾された表面的な数字だけで満足したのでした。当然ですが、その会社は、もう存在しません。

 

<ケース2・様々な資金調達でやり繰りをしていた経理担当者>

典型的な家族経営の会社です。父親が社長、母親が経理、子供や子供夫婦が後継者候補として一緒に働いていました。社長は職人気質で経理や財務には疎く、資金繰りは母親がやり繰りしていました。しかし経営状況は悪く、赤字が常態化していました。母親は銀行以外にも親戚など様々なところから借金をして、なんとか資金繰りをしていました。お金が何とか回っていたので、社長は赤字続きの経営の問題を省みることをしませんでした。子供達には会社の実態を教えていませんでした。

事業承継の話が出て、会社の決算書を子供たちが初めて見たとき、その状況に愕然としたのでした。残念ですが、この会社も、もうありません。

 

私は、「経理担当者を信じるな!」と言っているのではありません。2つのケースに共通しているのは、資金が回っていたために、経営者が自社の問題点に気づけなかった、気づこうとしなかった点です。会社が解決すべき根本的な問題点が埋もれてしまっていたのです。

経営者は、自社の資金繰りの状況、財務の状況、収支の状況をきちんと把握しなければなりません。様々な問題の結果が、そこに表れているのです。

 

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