その言葉は目的にあっていますか?

新潟県よろず支援拠点コーディネーターの山崎です。

コンサルティングは経営者や様々な人たちと会話をするのが商売と言って良いかも入れません。そのせいか会話の中で気になる言葉というものがいくつかあります。企業の中の人にとっては当たり前に使っている言葉なのでしょうが、どうも定義が曖昧に感じる時や、企業の目的に沿っていないと思うような言葉にぶつかると、「どういう意味で使っていますか? その定義はなんですか?」とお聞きすることが良くあります。今回はそんな言葉をいくつか紹介してみようかと思います。

A)管理

「管理ができていない」等と使われるケースが多いのですが、「細かいところまで把握していない。だから管理不足」、「決められたことをきちんとやっていないから管理不足」という使われ方をされるケースがあります。小さいところまで把握して、キチンとさせることが「管理」であるというニュアンスです。

企業活動においては、決められたことをキチンとする行為が必要な場面も勿論ありますが、キチンとするだけでは現状維持を意味します。「管理者」が現状を維持する人であっていいのでしょうか?

特に変化の激しい時代では、現状維持は徐々に衰退することと同義です。

とすれば「管理」は、「細かいことを含めて維持すること」より、「あるべき姿に改善するために、必要最小限の大事な行動が、進むように仕向けること」を重要視すべきではないでしょうか?

B)効率化

効率化という言葉もよく聞かれます。「効率を上げて利益をだそう」などと使われるのですがこれはいつも正しいでしょうか?

ア)固定費部門の効率化と業績の非効率

DX推進という名のもとに、固定費の間接部門でRPA(Robotic Process Automation)を使って事務作業を効率化しようといった試みが結構流行りました。果たしてどういう効果があるのでしょうか?

  • 作業を効率化すれば空き時間が増えますが、人件費は変わりません。
  • RPA導入費用が増加しますし、自社導入で無ければ外部への委託費用も増加します。

RPA導入により残業代が減るといった効果が見込めないとすると、RPA導入費用分や委託費用分だけ利益が悪化します。

効率化によって空いた分の費用を削減するか、売上拡大や変動費の削減に使うことがない限り利益の拡大には繋がりません

イ)今の効率化を追求することによる未来の非効率化

営業の場面でも、一人あたりの売上高を効率化しようなどと掛け声をかけることをかなり見かけます。これを重視すると、営業マンは下記の行動をとりがちです。

  • 効率よく売上を確保するには既存の顧客への深耕がやりやすいのでこれを重視する
  • 効率の悪い新規開拓を疎かにしがちになる

効率化重視により、短期的には成果が出せても、中長期的に攻めるべき市場を失うという矛盾が起きるリスクを抱えるのです。

今回は2つの言葉をご紹介しましたが、それ以外にも普通に使っている言葉が本来の目的に合致していないように思える言葉をよく耳にします。(生産性、原価率、付加価値など)
新型コロナの蔓延により、デジタル化、働き方の多様性、労働者のスキルミスマッチといった大きな流れが急激に加速したように見えます。変化の時代には、変化対応できることが最大の関心事になるわけですが、まずは社内に飛び交っている言葉の意味や解釈が、経営の目的に合致して使っているかについて見直してみてはいかがでしょうか。

 

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