大切な事業と雇用を守るための「資金繰り」について!

新潟県よろず支援拠点コーディネーターの伊藤です。

 

今回は大切な事業と雇用を守るための「資金繰り」についてお話をさせていただきます。

 

みなさんは「資金繰り」と聞くとどのような考えが浮かびますか?

「当社は問題ないな」「当社はいつも資金繰りが忙しいな」など様々であると思います。

 

実は当たり前のことと思われるかもしれませんが、事業を安定して継続していく上ではとても重要な事であるということをご理解いただきたいと思います。

 

例えば人間の体で表現すると「血液」にあたります。出血(キャッシュアウト)が止まらなければ最悪の事態となります。この場合、とにかくすぐに出血(キャッシュアウト)を止めなければなりません。

 

企業も同じように出血(赤字・収入≪支出)を止めなければ事業を継続することはできません。

 

最近の日本の中小企業において「黒字倒産」が増加しているとの報道をよくみかけます。

どういうことでしょうか?「黒字」なのに「倒産」?

 

決算書は「黒字」なのに資金繰りが確保できず、「支払い不能」となり破綻するということです。

 

具体的には下記のケースです。

 

①決算書では黒字(例:当期利益5百万)であっても、その5百万が現金として残っているとは限りません。例えばその5百万が「在庫の増加」である場合や、売掛金・貸付金・固定資産等が増加となっている場合等です。この場合では在庫や売掛金が「お金」になるまでの期間は支払いに影響を及ぼします。(経常運転資金の必要性と考えられます)

 

 

②金融機関の返済が年間10百万である場合は仮に利益の5百万が現金として残ったとしても( 利益5百万 < 返済額10百万)

その不足分の5百万が現預金の減少あるいは資金不足となります。

 

このことでお伝えしたいことは、金融機関に借入を申し込まれる場合に、「借入できるだろうか」ということで頭の中が一杯になって、金融機関から「返済期間は5年でいいですね」と言われたときに、あまり深く考えずに「はい」と返事をしてしまい契約を結ぶことが多くあると思います。

結果的に既存の返済額に新規の返済額がプラスされることで上記のような資金不足の要因となることを考慮すれば、借入する際、金融機関との交渉時に返済期間の長期化あるいは既存借入金との一本化等で返済額を軽減することも可能かもしれません(様々条件があることも含んでおいてください)。

 

①②のケースで認識していただきたいことは決算書の利益が必ず手元に現金として残っているとは限らないということです。また、仮に現金として残っていたとしてもそれ以上に金融機関への返済等がある場合には資金繰りに大きく影響(資金不足)を及ぼすということです。これらの金額が大きければ大きいほど資金繰りには多大な影響を及ぼすということを認識しておくことは事業を安定的に継続していく上では大切な事です。

 

上記を理解することで次のような早めの対策を講じることが可能となります。

 

①「資金繰り表」を作成することで今後の「資金繰り」が可視化され、万が一の資金不足に対し早めの対策を講じることが可能となります。

 

実は、ご相談に来られる経営者の方で「資金繰り表」を作成・管理されている方が非常に少ないという事実について考えさせられます。

結果的に相談に来られる時点で「数日後の資金が不足している」という相談も珍しくなく、「もう少し早く相談に来られれば」という思いを持つこともあります。

 

因に金融機関の立場として、急に「お金を貸してほしい」と言われても「はい、わかりました」ということは非現実的です。金融機関からの支援を受ける意味においても「資金繰り表」の作成・管理は事業継続上不可欠です。

 

②「資金繰り表」の管理により様々な事を把握することができます。例えば「来月、資金が不足する」「資金不足の主な要因が金融機関への返済金である」などです。

これらを把握することで具体的な資金繰り対策を講じる必要性を認識することができます。

今回、テーマを「資金繰り」とした大きな理由として今後、日本の中小企業の大きな問題として「コロナ返済(元本・利息)」「円安」「原材料等の価格高騰」による収支の悪化とそれに伴う「資金繰り」への大きな影響があります。

 

過去に経験したことのない日本経済への影響であり特に中小企業へのダメージは大きいといわれています。

大切なことはコントロールできないこととコントロール可能なことの見極めと早期の具体的対策と思います。その中で事業継続上「資金繰りの確保」は最も重要なことと思いますので今回のテーマとさせていただきました。

 

最後に少しでも大切な事業と雇用を守る経営者の皆様に向けて「資金繰り対策」の参考になればと思い対策事例をあげてみましたので参考にしてください。

 

資金繰り対策

①取引金融機関様への相談

・金融支援【新規借入・リ・スケジュール(条件変更)】について早めの相談。

・どのような条件をクリアすれば金融支援が得られるのか確認しましょう。

・経営改善計画を求められた場合等には早急に対応する必要があります。

 

②信用保証協会様への相談

・相応の保証協会残高があれば(なくても)、相談に応じてくれます。

・必要に応じて保証協会様から取引金融機関等に話をしてくれることもあります。

・様々な有効な制度がありますので積極的にご相談してください。

 

③日本政策金融公庫・商工中金様への相談

・「中小企業活性化パッケージ」の中の制度融資等の相談にのってくれます。

(様々な支援制度がありますので相談してみてください)

 

④新潟県中小企業活性化協議会様(旧:再生支援協議会)の活用

・複数の金融機関の金融調整をしてくれます。

・必要に応じ、収益力改善計画等の策定を支援してくれます。

 

最後になりますが、私ども新潟県よろず支援拠点へいつでもご相談ください。

様々な分野を専門としているコーディネーターが皆様からのご相談を

お待ちしておりますのでお気軽にご連絡・ご相談ください。

 

経営に関する個別相談会

経営健康診断

 

ありがとうございました。

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