キャッシュ・フロー経営とは?

キャッシュ・フロー経営とは?

 

コーディネーターの上村です。

 

コロナ禍の長期化が、企業経営にもたらした大きな影響として「手持資金(キャッシュ)の減少」が挙げられます。外出自粛による個人消費の低迷や、原材料・燃料高騰のあおりを受けて、多くの企業は資金繰りが厳しい状況になっています。

決算書上で「黒字」であっても、「手持ち資金(キャッシュ)」が枯渇すれば、企業経営は立ち行かなくなります。不安定な時代で注目されるキーワードが「キャッシュ・フロー経営」です。

キャッシュ・フロー(以下「CF」と表記)経営の基本である「CF計算書」について概略を説明します。財務諸表のひとつに「CF計算書」があり、同計算書を作成する中小企業も増えてきています。本計算書の構成(数値は仮定)は以下です。

Ⅰ.営業活動によるCF       +300

Ⅱ.投資活動によるCF       -100

 Ⅲ.財務活動によるCF       -100 

Ⅳ.現金及び現金同等物の増加額   +100

 V.    〃     の期首残高   400 

 Ⅵ.   〃     の期末残高   500 

 

 

 

Ⅰ.営業活動によるCF

主に事業活動(いわゆる「本業」)で獲得したキャッシュを表します。プラスが正常であり、継続的にプラス計上することがCF経営の基本です。なお、損益計算書の営業利益とイコールではなく、「売上債権」や「仕入債務」の増減等も影響します(後述)。

Ⅱ.投資活動によるCF

固定資産や有価証券等の取得および売買等によるキャッシュの増減。新規の設備投資を行えばキャッシュが減るため、一般的にマイナスのケースが多くなっています。

Ⅲ.財務活動によるCF

主に金融機関からの借入、返済によるキャッシュの増減。借入金を返済すればマイナス、新たに借入を行えばプラスとなります。

 

以下に、キャッシュはどのようなケースで増減するかをまとめてみました。

 

【キャッシュの増減パターン】

① 利益の計上 →キャッシュは増加(+)

② 売上債権や在庫(棚卸資産)など「資産科目」の増加 →キャッシュは減少(-)

③ 仕入債務や金融機関借入など「負債科目」の増加 →キャッシュは増加(+)

 

 

①や③の「金融機関借入」はイメージしやすいですが、以下の2点を十分に注意しながら、CF経営を進めていくことがポイントです。

〔注1〕②の売上債権や在庫のコントロールです。損益計算書で利益を計上していても、

売掛金や在庫が増加するとキャッシュは減少します。前期比、前月比で売掛債権や

在庫の増減をチェックして、理由なく増加させないことが重要です。

特に「在庫」は知らず知らず増加しがちですので、経営者自らが厳格な管理を行っていくことが、CF経営の基本中の基本といえます。

〔注2〕③の仕入債務を増加させるとキャッシュは増加します。具体的には、買掛金や未払金を増やせば(支払いを引き延ばすなどの手法で)資金繰りを改善することができます。ただし、このケースでは、仕入先との信頼関係を損ない仕入が困難になったり、風評リスクが発生したりする危険性があるので、慎重な対応が必要です。

 

健全なCF経営を行うためには、事例のように、営業活動によるCFをプラスとして財務活動によるCF(主に金融機関借入)からの資金調達に頼らずに、期末現預金を維持・増加させることがセオリーです。

コロナ禍の影響が大きい昨今、営業活動によるCFの獲得が厳しく、財務活動によるCF(特に金融機関借入)に頼らざるを得ない企業が多くなっていますが、CF経営の原則は、「営業活動によるCFの安定したプラス計上」と「3つ(営業活動・投資活動・財務活動)のCF」のバランスであることをご理解いただければと思います。

 

※キャッシュ・フロー経営についてのご相談は個別相談会をご利用ください。

令和4年度 経営に関する個別相談会開催のお知らせ

 

お申し込み、お待ちしております。

 

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